冒険の旅:Lethe編(5)

ゲーム時間で3日経ちました。LetheはMages GuildでのTrainingと、家でのキャスト訓練を行い、レベルを1から3にあげています。

---

Varroのひたすら冗長な話から、なんとか情報を得た。彼の言う『悪いやつら』はCamonna Tongの5人であること。名前はわからないということ。Camonna Tong はMorrowind の犯罪組織で、この地では比較的歴史があり、帝国では古参組織だが、島では新参者の集団に過ぎないThieves Guildと激しく争っていること。Thieves Guild(盗賊ギルド)が盗みや情報収集、潜入作戦のプロであることに対して、Camonna Tongは権力と黒い手段に物を言わせた殺人、恐喝なんでもありの残虐犯罪集団であるということ。

さらにThieves Guildのメンバーにで聞き込みを行うと、すぐに5人の名前は判明した。盗賊ギルドがSouth Wall Cornerclubをアジトとするように、Camonna TongのメンバーはCouncil Clubをアジトにしているらしい。

ここまで情報がそろえば、必要なのはただ一つ。わたし自身の能力だ。残念ながらわたしには、すばやい身のこなしも頑強な肉体もない。だが魔法なら人並み以上にやれそうだ。思い切って手持ちの荷物を半分以上売り払い、砦の地下の女性兵士が扱っていた召喚呪文を買った。他にもいろいろそろえたいが金がない。第一、これらを召喚すればわたしの魔力が持つまい。後はせいぜい防御呪文を一つ使えるかどうか。これで勝負だ。

---

2体のAtronach、ゴーレムを召喚する呪文を手に入れておいた。かなりの出費だが、今後も役に立つはずだ。二晩かけて研究した。やり方はおのずと決まった。わたしの能力では一度に一体の召喚しか維持できそうにない。5人を一度に相手にするのは避けたい。まず強力な Frost Atronachを先に召喚。上の階の鍛冶屋を先に倒す。犯罪のペナルティは受けたくないため、挑発して向こうにに武器を抜かせればいい。その後ポーションで魔力を回復し、Flame Atronachを召喚。下のメンバーを順に片付ける。危なくなった場合は Almsivi Intervensionで街の中の Tribunal Temple前に脱出する。

作戦は決まった。望むものは、成功だけだ。わたしは隠れ家にしていたあばら家を出て、深夜のBalmoraの街を走り抜けた。少しだけ、迷いが生じる。なぜ言われたとおりにするのか。自分にとって、この任務がどれほどのものであるのか。まだ明確な理由はない。自分の心に聞いても、答えは返ってこない。だが、Camonna Tongが、公の視点で見て許しがたい組織であるのはわかる。今はやれることをやろう。囚人として日の差さない暗がりで死ぬよりは、スパイとなって日の指す世界の陰を望んで歩いてやる。何にしたって、「前の生活よりはまし」なのだから。

Camonna Tongのアジトの周りは静まり返っていた。人影もない。準備は万端だ。出でよ、と念じたその瞬間に、凍気を吐き出す青い巨人が目の前に現れた。同時に大量の魔力が失われていくのを感じる。脱力感で目がくらみ、脚がもつれた。いつも連れて歩いている霊を気軽に呼び出すのとは比べ物にならない負担だ。

氷の巨人は静かに立ち、命令を待っている。
「わたしの敵となり、わたしに害を加えるものをすべて殺せ」

少し考えて付け加えた。
「よろしく頼む」

「頼む」という命令(コマンド)ではない言葉に、巨人がうなずいたのは気のせいだったろうか。

上の階にいた最初の標的、鍛冶屋家業を隠れ蓑にするDunmerの男は、わたしをみるとわずらわしそうに目を細め、顔をそむけた。「用があるなら早くしろ」

「わかった。そうさせてもらう」わたしはすばやく柱の陰、Frost Atroachの氷結呪文の死角となる位置に移動して、しもべに次なる使命を課す。

「男を殺せ」

柱ごしに、吹雪のような氷のかけらを含んだ風が巻き上がるのがわかった。断末魔の声をあげて、男は死んだ。

時間切れだ。浴びるようにポーションを飲み、階段を駆けおりる。何事かとわたしを見上げるごろつきどもに、思いつく限りの罵倒の言葉を浴びせかけてやる。お前たちの悪行は知れ渡っている。もはや死で償うほかないぞ、と告げると残りの4人がいっせいに剣を構え、襲い掛かってきた。それが答えか、話が早い。次なる僕、炎の巨人を召喚し、直ちに命令を与える。

「この部屋にいるDunmerを殺せ」
たちまち視界は燃え上がる炎で覆われた。

かなり苦戦した。敵の数は多く、わたしの召喚は1回30秒しか持たない。Flame Atronachは案外打たれ弱く、4人の攻撃を受けて時間限界を待たずに倒れた。たちまち青黒い肌のDunmerたちはわたしに襲い掛かり、腕と言わず脚といわず刺し貫いていく。出口に向かって走り、ぎりぎりのタイミングで召喚したいつもの霊が、弱っていた盗賊どもに順に止めを刺していってくれた。わたしの足元には4体の躯(むくろ)が転がり、わたしは九死に一生を得た。

「すまない。ありがとう」
昔から喚べた霊なのに、声を掛けたのは初めてだった。霊はかすかにうなずき、そして消えた。

わたしの命令がまずかったのか、Flame Atronachの炎で罪のないCouncil Clubのバーテンダーまでもが死亡してしまっていた。わたしはこの点についてのみ、有罪とされ、罰金を支払うか強制労働につくかを選択させられることになった。わたしは罰金を選んだ。

Fort Moonmothに戻ると、Larrius Varroが上機嫌で迎えてくれた。"皇帝からの褒美"という名目で渡されたのは、姿を周りの景色に溶け込ませる力を持った指輪だった。豪華な装飾がなされているが、指輪にこめられている"身隠し"の呪文は効果の弱いもので、使いどころを見つけるのが難しいようなしろものだ。こんな、ただのぜいたくな子供の魔法つきおもちゃが皇帝からのプレゼントなわけがない。Varroはわたしをからかったつもりなのだろうか。指輪はすぐに袋にしまいこんだ。使うことはないだろう。それよりも、彼が指輪と一緒にくれた赤い装丁の物語本の方が気に入った。人口が多いだけあって、Morrowindには書籍も多いだろう。これから向かうEbonheartには大きな書店か図書館はあるだろうか。

召喚は時間ごとに定められる契約で、召喚生物はこちらの命令に一方的に従うしかない、知性に乏しい存在であると考えていた

しかし、Atronachたち、そしてわたしに小さい時からついていたあの老人の霊はコマンド以外にも反応した。

彼らにも知性がある、知性と呼べるものではないにしても、心、魂のようなものがあり、しっかりとわたしたち召喚者の人となりを見極めているのではないだろうか。召喚については、今後実践と研究から学んでいくことが多そうだ。

Ebonheartに向かう前にBalmoraに戻り、自分へのささやかな褒美として、服とローブを買った。しばらくこの街には戻らない。もう少し世界を知り、自分の力を知ることができたらここへ戻り、任務についてCaiusにたずねよう。

夜明けと共に、わたしは少ない荷物を持って街を出た。