冒険の旅:Lethe編(11)
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「お待たせしました。これです」
わたしはHasphatの望みの品、dwemer puzzle boxを手渡した。不思議な文様の掘られた、金属の小箱。箱といっても蓋もなく、その赤茶けた色からは金属の種類を特定することは難しかった。銅よりははるかに軽い。赤茶けているからといって錆に覆われているわけでもない。Hasphatはあまりのうれしさにか息を呑み、菓子に手を伸ばす子供のようにその箱をつかみとった。
これを手に入れるのにどれほど道に迷い、苦労したか。Arkngthand 遺跡につけば扉の開け方がわからず、中に入れば慣れない金属臭と溶岩の暑さで気分を悪くし、いまだに動き続けるDwemerたちの作った機械仕掛けの兵が襲い掛かってくるといった具合で このpuzzle box探しには大変な危険と労力がかかったのだ。なんとしても報酬として情報を手に入れなければならない。
「あの、Hasphat殿。Nerevarine CultとSixth Houseの2つの教団についてですが・・・」
Hasphatはもう箱に夢中で、上の空で小さなメモ書きを投げてよこした。そこにはこう書かれていた。
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《Sixth House (第六の家)》Dagoth家は滅んだGreat Houseである。その昔、Red Mountainの乱にて裏切りが暴かれ、疑いを向けられるようになった。Dagoth家の多くの者は家を守ろうとして命を落とした。大評議会に忠誠を示した生き残りは他の家に組み込まれた。教会によれば、いまだに古代の悪がRed Mountainには住まっており、当時の家の指導者が何らかの邪悪で強力な魔術により命永らえているらしい。
参考図書
Sixth Houseとその滅亡については以下の図書にしるされている。商業区のDorisa Darvelが店で扱っているかもしれない。
THE WAR OF THE FIRST COUNCIL (第一評議会戦争)
SAINT NEREVAR (聖Nerevar)
NEREVAR MOON-AND-STAR (Nerevarの魔力の指輪 Moon-and-Star)
THE REAL NEREVAR (Nerevar、その真の姿)・・・これだけ?
あんなに苦労して、得た情報がたったこれだけなのか。腹立たしく感じながら、わたしはメモに目を通した。昔々に滅んだダークエルフの名家が邪教集団に変貌する、か。特におもしろい内容でもない。おおかた、誰も真実を知らないのをいいことに生まれた俗な伝承だろう。ダークエルフの教会が、より熱心な信仰を集めるだしとして邪教を用意しているのかもしれない。おもしろい仕事ではなかったが、とにかく無事果たすことはできた。わたしはまだ諜報員としては駆け出しだから、こんな小さな任務をあてがったのだろう。
しかしメモを受け取ったCaiusの反応はわたしの予想とは違った。彼はメモに書かれた内容をじっくりと読み、その後しばらくそばに立っているわたしをそっちのけで思案にふけっていた。まるでこのメモが、さも重要な機密事項であるかのように。しばらくして彼はわたしに向き直り、口を開いた。
「なるほど。実に興味深い。君もこれら二つの教団についての調査結果には逐一目を通し、知識を蓄えておくべきだ。では次の指令を言い渡す」
わたしにはただちに、次のなすべき仕事が与えられた。再び彼の指定する人物のところに赴き、聖者Nerevarの生まれ変わりを信じるNerevarine教団と、滅んだ血筋が変じたSixth House邪教についての情報を収集するのだ。皇帝は帝国の人間、ヒューマン種であるはずだ。ダークエルフの秘密教団になぜそこまで興味があるのだろうか。ダークエルフが住み着くこのMorrowindについて何か計画のようなものを案じているのかもしれない。征服か、併合か、種の殲滅か。いろいろ無責任で物騒な想像をしながら、わたしは次の情報主の下へ赴いた。
同じBalmoraの魔術師ギルドに籍を置く、Sharnと言う女がわたしの会うべき相手だ。彼女からは、Nerevarineと言う勇者の復活を信じる秘密教団の情報を得るのが目的となる。Sharnはおかしな女だった。彼女があまり見かけないオークの女だったからではない。彼女はどこかが、変だった。たった一人でギルド書庫の隅の椅子に陣取り、わけのわからない分厚い本を必死で読んでいる。普通の魔術をおさめた者、とは思えなかった。彼女には何か胡散臭い秘密を感じたが、その秘密はわたしのあずかり知らぬこと。深く追求する必要もない。情報と引き換えに頭蓋を一つもってこいというSharnの気味の悪い願いにも、特に驚かされることはなかった。HasphatはDwemerの遺跡の変な箱を欲しがった。Sharnの場合はそれが死者の頭骨になっただけのことだ。またも召喚の力を借りては消耗した魔力を取り戻すため休むことを繰り返すという、2日ばかりの苦労を要したが何とか目的の頭蓋をSharnの元に持ち帰り、Nerevarine教団の情報を得ることができた。
SharnのメモはHasphatのそれよりだいぶましで、記述も長かった。NerevarineとはNerevarという古代の名将の生まれ変わりであり、Nerevarine教団とは彼の転生による復活を期待する信仰集団であるということだ。もはや当時のことを知る者はなく、どんな人物かもわからない、いにしえの勇者。その復活を願うなど、あまりに今生きている人間にとって都合のいい話だ。時間を越えて勝手に呼び出される勇者はたまったものではないだろう。自分たちの力ではかなわぬ幸福を、どこからともなくやってきた超越者にかなえて欲しいと言う考えに不愉快な気持ちを持った。気持ちが悪いと言う点では、この教団も、邪教と呼ばれるSixth Houseも私にとっては変わりない。 片方は伝説の勇者に、片方は強力な悪魔に力と願いを一方的に求めるだけなのだろうから。ひとつ気になるのは、この異端とされる教団のかなめであるNerevarは、Tribunal教会の聖人の一人でもあると言う点だった。このメモを受け取ったCaiusは、Hasphatのメモと同じく内容に満足し、何かを確信したようにうなづいていた。そしてわたしに向けて次の指令を言い渡した。
次なる行き先は南の大都市Vivec。Vvardenfell島最大の都市だという。ここでわたしは3度目の秘密教団に関する調査を行うこととなるのだ。それにしても、Sixth HouseとNerevarine cult、この二つの秘密教団のことを同時に調べさせられているのはなぜなのだろうか。両者には何か共通点があるに違いない。ことは少々急ぐようなので、わたしは徒歩を使わず、魔術師ギルドの転送呪文に送られて都市へ赴くこととなった。