World of Warcraftの歴史

オンラインRPG『World of Warcraft』マニュアル156ページからを日本語に訳したものです。彼、彼女などの代名詞を具体的な名前や、他の彼らを指し示す称号で置き換えている場合があります。関係代名詞で結ばれる1文を日本語にした時に、主語と述語が離れすぎてしまう場合には、その前後で2文に分けて訳していることがあります。the Burning Legionなどの、冠詞theは訳文では省略しています。今後これらの法則を変更する可能性があります。より詳細にわたる歴史についての知識、用語、ゲームについての情報は、現在リンクなどで補完をお願いします。
(2006年10月25日 やや修正 誤字修正、数点補足を追加)
(2009年4月 読みやすくするため訳文から可能な限りアルファベットを廃する。初出のときのみ訳語(原語)の形で記述。 例) 業火の軍団(Burning Legion)Forsakenのみ訳語に悩んでまだです。

登場する人たち・場所の基本情報
《プレイヤーサイド》
The Alliance(このテキストでは 同盟軍 と訳す)
・Humans(ヒューマン) 人間。男は全員髭のおっさん、女性はかわいい。ホームタウンはStormwind。
・Night Elves(ナイトエルフ) 長身痩躯でファンシーな色の肌、長い耳と眉毛。本来持っていた不死性を失った。ホームタウンはDarnassus。
・Dwarves(ドワーフ) 小柄で筋肉質、なおかつ頑強な種族。ホームタウンはIronforge。
・Gnomes(ノーム) 最も小さな種族、一族総メカマニア。ホームタウンを奪われドワーフのところに間借り中。

The Horde(このテキストでは 蛮勇軍 と訳す)
・Orcs(オーク) Warcraftシリーズの看板種族、緑の肌、牙を持つ。ホームタウンはOrgrimmar。
・Tauren(トーレン) 複数形同じ。鬣の生えた牛人、ネイティヴアメリカン的イメージ。ホームタウンはThunder Bluff。
・Undead(アンデッド) Lich Kingの呪縛より目覚めたアンデッド、別名The Forsaken。ホームタウンはUndercity。
・Trolls(トロール) やせ形、青い肌、鋭い牙。悪のトロールに放逐されオークと手を結んだDarkspear氏族。小さな村があるが、ホームタウンはない。トロールと言うのはよくよく故郷を追われる運命にあるらしい。

《非プレイヤー》
・Burning Legion デーモン軍団。とても悪い。
・Scourge(スカージ) デーモンロードKil'jaedenの創造したアンデッド軍団。ヘッドはLich King Ner'zhul。その支配から目覚めたアンデッドがForsaken。日本語版Warcraft 3では[スコージ]と表記されている。 Skaajを想像するとたぶん違う。

WoWの世界観は、ベースとなっているリアルタイム戦略シミュレーションゲームWarcraft 3をプレイすると割とよくわかります。 なお訳者は日本語版のWarcraft3を持っていませんので、確認の取れない単語の読みは英語的な発音を基準に適当につけています。

画像でみるWoW − 各陣営の指導者達の画像などはこちらに移動しました

158ページ
The Scourge of Lordaeron
ローデロンの災禍


その昔、業火の軍団(Burning Legion)の太守たちは、世にオークの軍団を放ち、アゼロス(Azeroth)の王国を滅ぼさんと企んだ。 邪悪の配下軍は、絶えず味方同士で争い自らを滅ぼしてしまったので、結局この計画は身を結ばなかった。この失敗にも怖じることなくデーモンたちは、つまりは定命の者たちの世界に混沌と不和をもたらすには、新しい、よりまとまった力を持つ軍が必要なのだろうと考えた。

野望を果たすべく、キルジェデン(Kil'jaeden)というデーモンが災禍種スカージ(Scourge)種、恐るべき不死王(Lich King)唯一つの意志の下に束ねられた、不死なる戦士の大軍団を創造した。己の意のままに動く道具として不死王を得たキルジェデンはスカージどもを手元に置き、いつ何時にも、あらゆる種の国をも滅ぼす構えができた。不死王と定命なるその僕ケルスザッド(Kel'Thuzad)は人々の住まう地にひどい病を広め、その結果新たに生まれるアンデッドの戦士によってスカージの戦力を大いに増そうと計画した。手はずがすべて整うと、ケルスザッドと彼に従う呪詛教団(Cult of the Damned)はローデロン(Lordaeron)北部に疫病をばらまき、定命の者たちの国家に最初の一撃を放った。

人々に最も名の知られる英雄の一人、光の勇者ユーサー(Uther the Lightbringer)は、疫病の蔓延を食い止める方法を見つけ出さんと希望を抱きつつ、汚染の進む地域の調査に当たった。その努力もむなしく病は広がり続け、同盟軍(Alliances)の勢力はばらばらに引き裂かれてしまおうかと思われた。アンデッドの軍勢がローデロン全域で猛威を振るう中、王の一人息子アーサス王子(Prince Arthas)が、スカージを倒すべく戦いの旗印を揚げた。アーサスは首尾よくケルスザッドを倒すことができたが、戦いに倒れた兵士たちを戦陣に加え、なおも不死王の軍は勢いを増すばかりであった。滅ぼすことなどとうてい不可能かと思われる相手に焦りと強い苛立ちを感じたアーサスは、次第に敵を撃退するためならば、どんな無謀な策であろうが使うようになっていった。ついにユーサーがアーサスを"お前は人としての道を外れかけている"と戒めるほどだった。

アーサスの恐れと不屈の執念こそが、彼に決定的な破滅をもたらしてしまうこととなった。病の脅威を永久に絶つため、王子は疫病の源を追い極北のノースレンド(Northrend)へと至った。だがしかし、災いを絶つどころか呪いの魔剣"氷の慟哭"(Frostmourne)を、人々を救うために用いることができる剣と信じて手にしたその瞬間に、彼は不死王の罠にかかってしまった。剣は計り知れない力を王子に授けたことは確かであった。だが、それと同時に剣は彼の心を奪い取ったのだ。心は失われ正気は砕かれ、アーサスは不死王の最強の死の騎士へと変貌した。王子は自らスカージを率いて祖国を襲い、ユーサーを戦場で倒し、実の父テレナス(Terenas)王をも自らの手で殺した。アーサス王子の途方もなく罪深い仕業に不意をうたれ、ローデロンは不死王の鋼のきびすにくじかれたのだ。

*出てくる人*
Arthas − Human Paladin。Lich Kingの策に落ち、Death Knight(死の騎士)となる
Uther the Lightbringer −Terenasの王国に仕えるパラディン。Plaguelandに彼の墓がある
Kil'jaeden −Scourgeを作ったデーモン
Scourge −悪いアンデッド種
Kel'Thuzad −Lich Kingの手下。後に不死となりArthasの手下となる
King Terenas − Arthasの実の父にしてLordaeronの王。
Lich King − 名はNer'zhul。もともとはOrc Shamanらしい。日本語版では[ネルズール]と表記されている。 ちなみに中国語版では巫妖王と呼ばれる。Warcraft は魔獣争覇。訳も巫妖王がよかったかもしれない。

159ページ
Sunwell-The Fall of Quel'Thalas
サンウェル−クェルサラスの滅亡

今や目にする者すべてを敵とみなし打ち倒していくアーサスだったが、その魂はケルスザッドの亡霊に支配されていた。ケルスザッドの亡霊はアーサスに"我のむくろの残骸を、ハイエルフの王国クェルサラス(Quel'Thara)に隠されている神秘なる日輪の井(Sunwell)へ持ってゆくのだ"と囁いた。

こうしてアーサスと彼の率いるスカージたちはクェルサラスを侵略し、ハイエルフたちの脆い守備に包囲陣を敷いた。銀月女神のレンジャーにして将軍を務めるシルヴァナス・ウィンドランナー(Sylvanas Windrunner)は勇猛果敢に戦ったが、ついにアーサスはハイエルフ軍を殲滅し、日輪の井への道を勝ち得た。彼は残酷にも征服の証として、シルヴァナスのなきがらをバンシーとして甦らせ、クェルサラスの征服者に仕える心無き不死の者となるよう呪った。

時は到り、アーサスはケルスザッドの残骸を日輪の井の聖なる水にひたした。永遠の力を持つ水はこの仕業によって汚されてしまったが、ケルスザッドは魔力を持つリッチとして再びこの世に還った。以前よりはるかに強大な存在として甦ったケルスザッドは、不死王の次なる段階の企みの要となった。アーサスと死者の軍勢が南へ進路を取るころには、もはやクェルサラスには命あるハイエルフなど一人も残されてはいなかった。9000年余の栄華を誇ったハイエルフの輝ける故郷は滅亡してしまったのだ。

*出てくる人*
Sylvanas Windrunner − High Elf Warrior? Ranger-General of Silvermoon。Silvermoonとはエルフの月の女神Eluneを指す。アーサスに倒されバンシー化、Lich Kingに魂の隷従を強いられる。その後Lich Kingの力が弱まった際に理性を取り戻し反乱を起こして、Forsaken(プレイヤーが選択できる方のアンデッド勢力)の指導者、The Dark Ladyとなる

160ページ
Archimonde's Return
and the Flight to Kalimdor

アーチモンドの再来と、カリムドーの襲撃


ケルスザッドが再びよみがえると、アーサスはスカージを率い、デイララン(Dalaran)へ向かって南へ進軍した。そこには強力な魔道書を持つメディーヴ(Medivh)というリッチがおり、デーモンの王アーチモンド(Archimonde)を現世に召喚するために、その書を用いたというのだった。 これにより、アーチモンドは自ら業火の軍団の最終的な侵略戦を指揮することになると思われた。キリン・トー(Kirin Tor)の魔道士たちは、アーサスがメディーヴの魔道書を盗むのを阻止することすらできず、たちまちケルスザッドは召喚の儀に必要な物すべてを手に入れてしまった。1000年の歳月を経て、果てなき力を有するデーモン アーチモンドとその配下の軍勢は、再びアゼロスの地に舞い戻ったのだ。デイラランはほんの手始めの地であった。アーチモンドと彼の従えるデーモンは、アンデッドのスカージ軍を追って世界樹ノードラシル(Nordrassil)を破壊するようキルジェデンより直々に命ぜられ、カリムドー(Kalimdor)へと向かった。

この混沌の最中、謎の予言者が現れ定命の種族たちを導き、力を貸した。この予言者こそ、過去に犯した罪をあがなうべく、彼方の世から奇跡のごとく舞い戻った最後の守護者、他ならぬメディーヴその人であった。メディーヴはホード蛮勇軍(Horde)と同盟軍(Alliance)双方に、彼らが共に直面している危機について語り、手を取り力を合わせよと強く説いた。積年の憎しみに倦み疲れ、オークもヒューマンもそれ以外の方法を見出せなかった。メディーヴは種族ひとつひとつに対して説得をしなければならなかったが、予言と策略を用いて彼らを導き、伝説の地カリムドーへと向かう洋上で両者が出会うようにした。その後程なくしてオークとヒューマンは、長きに渡る間知られることのなかったナイトエルフの文明と遭遇したのだった。

--161ページ

若き戦将スロール(Thrall)に率いられたオークたちは、カリムドーの不毛荒野(Barrens)へ向かう旅にあって数々の苦難にさいなまれていた。オークたちは血蹄族のカイアン(Cairne Bloodhoof)及び力強きトーレンの戦士たちとの協力関係を得たが、多くのオークたちは邪悪な血の渇きに支配され始め、この状態は長く彼らを苦しめた。スロールの腹心の部下、グロム・ヘルスクリーム(Grom Hellscream)すら蛮勇軍に加担し、、己の身を下等な本能にゆだねてしまった。ヘルスクリームと彼に忠実なる凱歌団(Warsong)の戦士たちは灰色盆地(Ashenvale)へ潜み赴いては、ナイトエルフの歩哨隊との戦に及んだ。戦に明け暮れる日々よりオークが立ち返ることができたのは、半神セナリウス(Cenarius)が降臨し、ヘルスクリームとその僕たちを押し戻したからであった。だがヘルスクリームとオークたちは狂おしいまでの怒りと激情を克服したにもかかわらず、ついにはセナリウスを殺し、いにしえの森を破壊してしまった。しかしながらのちにヘルスクリームは誇りを取り戻し、最初にオークの血筋に怒りと激情の呪いをかけたデーモンの王マノロス(Mannoroth)をスロールと共に打ち倒した。マノロスの死により、オークの血の呪いはついに終わりを迎えたのだ。

一方メディーヴがオークとヒューマンに手を組むよう説得を続けているころ、ナイトエルフたちは、密かに業火の軍団に対抗し孤軍奮闘していた。ナイトエルフ軍(Sentinels)の不死なる高女祭ティランド・ウィスパーウィンド(Tyrande Whisperwind)は死力を尽くして、灰色盆地へ迫り来るデーモンとアンデッドを食い止めつづけていた。ティランドは助力が必要であると気づき、何千年もの長き"碧の眠り"(Emerald Dream)にあるナイトエルフのドルイドたちを目覚めさせるため旅に出た。愛するマルフュリオン・ストームレイジ(Malfurion Stormrage)を呼び戻し、ティランドはナイトエルフの守りを固めて軍団を追い払った。マルフュリオンの力を得て、業火の軍団と、奴らと手を組むスカージたちに打ち勝つため、森は自ら立ち上がったのだ。

眠りにつくドルイドを捜す旅の中、マルフュリオンは彼の兄イリダン(Illidan)をこの手で幽閉した塚牢にたどり着いた。イリダンは軍団と戦うため手を貸そうと言うのでこれに説得され、ティランドは彼を自由の身にした。だがイリダンはしばらくの間はティランドたちに助力したものの、じきに自分の目的を追い求めるため去って行ってしまった。

ナイトエルフは勇気を奮い立たせ、厳然たる決意をもって業火の軍団と戦った。世界樹の力を保つ源にして、ナイトエルフの王国の中核をもなすとこしえの泉(Well of Eternity)を求める軍団の勢いは止むことはなかった。世界樹を襲い、倒すというたくらみがなされたならば、世界は文字通りデーモンどもに粉々にされてしまうのだ。

ここにあった画像は移動しました

*出てくる人*
Medivh −昔悪かったがいまはあまり悪くないリッチ
Thrall −Orc Warchief。日本語版Warcraft3に従って読みを[スロール]に改めた。Thrullと混同して[スラル]と呼びたくなる自分を反省。
Cairne Bloodhoof - Tauren Warrior。Tauren三大部族の一つ、Bloodhoofの長
Grom Hellscream - Thrallの部下、優秀な戦士。邪悪ではないが種に刷り込まれた呪いに翻弄される
Cenarius −demigod。詳細忘却 ドルイドたちのfaction Cenarion Circleに関係深し
Archimonde −デーモンロード。
Mannoroth −デーモンロード。Orcの創造にかかわり、血の呪いを与える
Tyrande Whisperwind −Night Elf。不老不死。Warcraft3日本語版では[ティランダ]
Malfurion Stormrage −Night Elf Druid。冬眠好き。Warcraft3のFurionと同一人物 でないとおかしいが。
Illidan − 悪いナイトエルフ。この後どんどん悪くなる

*出てくる場所*
Dalaran −日本語版Warcraft 2ではダレラン、3ではダラランらしい。ボイスオーバーからこのページではデイラランと記述。
Nordrassil - この戦いによって滅んだ最初の世界樹。これの代わりとしてエルフたちが育てた樹が、WoWにてナイトエルフの街Darnassusを内包するTeldrassil。この新たな世界樹はエルフたちの地を守護するドラゴン(2体、名前を失念)からの祝福を得られなかった(拒否された。理由は失念)ため、完全な世界樹になれないまま異常な成長を遂げた。Teldrassil内に邪悪なクリーチャー、狂った動物などがはびこっているのはこのため。 ちなみにTeldrassilは巨大な切り株状になっているので、淵から洋上に飛び降りることができる。が、slowfallがないと死ぬ。

*注*
オークの血の乾き(bloodlust) - Burning Legionがオーク創造時に植え付けた残虐な闘争本能。戦うためなら味方同士ですら傷つけ合いかねない激しい性質。あまりにこの性質が強すぎたため、デーモンたちはオークは戦力として役に立たないと判断、代わりにScourgeを創造した。↑158ページ「ローデロンの災禍」参照。

162ページ
The Battle of Mount Hyjal

ハイジャル山の戦い


メディーヴの導きによって、スロールと在カリムドーヒューマン軍の指揮官ジャイナ・プラウドムア(Jaina Proudmoore)は、遺恨は脇に置かねばならないことを理解した。ティランドとマルフュリオン率いるナイトエルフたちもまた、世界樹を守るには皆が手を結ぶしかないと納得した。利害の一致により一つに団結したアゼロスの種族は、世界樹の力を強めるために全力を尽くし、共に働いた。世界すべての力を借りたマルフュリオンは、世界樹ノードラシルの原初の怒りを解き放ち、アーチモンドを完全に滅ぼすと、とこしえの泉から業火の軍団の軍勢を消し去った。この最終戦争はカリムドー全土をその根底から揺るがした。泉から力を引き出すことができなくなった業火の軍団は、定命の者たちの一つに結ばれた力のもとに敗れ去ったのだ。

*注*
Jaina Proudmoore -Warcraft 3にも出てくるヒューマン。魔法使い系。WoWではTheramoreにいる。Alliancesのキャラクターならば、Theramoreのクエストで直接Jainaを目にし、かかわる機会が与えられるだろう。

162-163ページ
The Betrayer Ascendant

裏切りの系譜


業火の軍団による灰色盆地侵攻が行われる中、ティランドはイリダンを10000年もの間幽閉されていた塚牢から解放した。初めのうちこそ仲間の満足するような行動を取ってはいたが、程なくして彼は本性を表し、グルダンの頭蓋(Skull of Gul'dan)と呼ばれる強大なウォーロックの秘宝の魔力を取り込み始めた。これにより、イリダンは悪魔的な性格と計り知れない魔力を持つ存在に変貌してしまった。またイリダンは秘宝から、グルダンの生前の記憶を得た。特筆すべきは、闇の巨神サージェラス(Dark Titan Sargeras)の遺物を収めると噂される孤島の洞窟、サージェラス古墳(Tomb of Sargeras)の記憶であった。

力と、再び得た世界を気ままに歩き回れるという自由に満ち満ちて、イリダンはことを画策するのに良い、自分だけの場所を探し始めた。ところがキルジェデンがイリダンの前に立ちふさがり、願ってもない提案を持ちかけた。キルジェデンはハイジャル(Hyjal)山におけるアーチモンドの敗北に怒りを覚えていたが、彼には復讐よりも大きな関心事があった。彼の被造物であるはずの不死王の力があまりにも強大になり、手に負えなくなって来ていることに気づいたのだ。キルジェデンはイリダンにネズール(Ner'zhul-これが不死王の名である)を倒し、不死の種なるスカージに、再び完全なる死を与えよと命じた。報酬として、イリダンはこれまでにない強大な力と、業火の軍団の王の一人として数えられる、まことの地位を得ることとなった。

--163ページ
イリダンは取引に応じ、不死王の魂の収められた氷晶の座、氷の玉座(Frozen Throne)を破壊すべく出立した。(*) 氷の玉座を破壊するには、強い魔力を持つ秘宝が必要になることをイリダンは知っていた。グルダンの記憶から得た知識を用い、イリダンはサージェラスの墓を捜し求め、闇の巨神の遺物を手に入れることにした。彼はハイボーン(Highborne)に立ち寄って古い借りの返済にと、暗き深海の住処よりサーペンタイン・ナーガ(serpentine naga)種を呼び出した。狡猾なる海の魔女、レディ・ヴァシュジュ(Lady Vashj)が統べるナーガたちはイリダンに手を貸し、滅びの島(Broken Isles)へと至る助けをした。この島こそサージェラスの墓があると言われる場所であった。

イリダンがナーガと共に旅立つと、森番 メイヴ・シャドウソング(Warden Maiev Shadowsong)はこれを倒さんと追い始めた。メイヴは10000年もの間イリダンを幽閉してきた牢番であり、彼を再び捕らえようと執念に燃えていたのだ。だがイリダンの知恵はメイヴと彼女の従える兵たちをはるかに勝り、彼女たちの努力もむなしくイリダンはサージェラスの瞳(Eye of Sargeras)を手中に収めることに成功した。魔力に満ちた秘宝を携えて、イリダンはかつて魔道士たちの都市であったデイラランへと向かった。街に巡らされた魔力の流れの力を借り、秘宝サージェラスの瞳を用いて、イリダンははるかノースレンドの彼方にある不死王の氷の玉座を破壊する呪文を唱えた。イリダンの攻撃は不死王の守りを破り、その力は天をも裂くほどにとどろいた。まさに事は決すかと思われたその時に、メイヴと共に彼の弟マルフュリオンと女祭ティランドが駆けつけ、イリダンの破壊魔法は阻止された。

氷の玉座の破壊に失敗したことをキルジェデンが喜ぶはずがないと知り、イリダンは辺境圏(Outland)として知られる不毛の地へ逃げ去った。辺境圏はドレナー(Draenor)の名残、かつてのオークの故郷である。かの地にてイリダンはキルジェデンの怒りから逃れるための次なる策を練ろうと考えた。イリダンを阻止したのち、ティランドとマルフュリオンは灰色盆地の故郷へ戻り、人々を守ることにした。しかしメイヴは容易にあきらめはせず、正義の鉄槌を下すべくイリダンを追って辺境圏へと向かった。

*注*
このあたりがWarcraft 3の拡張パックThe Frozen Throneの話。

*出てくる人*
Warden Maiev Shadowsong −Night Elf Druid、女性。強いはずなのだがストーリー全体でみるとやられ役に。
Gul'dan − Orc Warlock? Ner'zhul、Kil'jaedanと悪者ばかりに師事して魔力を磨いた。

164ページ
Rise of the Blood Elves

ブラッドエルフの決起


この期に、アンデッドたちのスカージ軍は企みどおりにローデロンとクェルサラスを病毒に満ちた悪疫の地(Plaguelands) に変えてしまった。同盟の抵抗軍はもはや数えるほどの隊が残るのみとなっていた。残存隊の一つ、主にハイエルフからなる集団は、サンストライダー(Sunstrider)王朝の最後の生き残りであるケルサス王子(Prince Kael'thas)に率いられていた。優れた魔術師でもあるケルは、彼らエルフの援軍にまで疑いと敵意をもって接する同盟の勢力が弱る様をみて大いに憂えるようになった。祖国を失い深く嘆いたハイエルフたちは、倒れた同胞を忘れまいと、自らをブラッドエルフ(blood elves、血のエルフ)と呼ぶことにした。皆は湾岸にてスカージを食い止めようと奮闘したが、魔力の源であった日輪の井とのつながりを絶たれ、次第に弱り苦しむようになっていった。同盟がエルフたちに、到底勝ち目のない戦いに赴くよう命じたその時に、ナーガが助力を申し入れ、戦いの流れを変えた。ケルとナーガの同盟を知ると、同盟がエルフたちを裏切り者であると決めつけ咎めたのは不運なことであった。牢に入れられ、処刑を言い渡されたブラッドエルフたちは、レディ・ヴァシュジュによって救い出された。

他にどことて行くあてもなく、ケルとブラッドエルフたちは、レディ・ヴァシュジュに従って辺境圏へ向かった。彼らは共になって、イリダンを再び捕らえた森番 メイヴ・シャドウソングを捜し求めた。ナーガとブラッドエルフの同盟軍が、彼女を倒しイリダンをその手より解放するのにさほど時間はかからなかった。イリダンが語るには、ブラッドエルフが魔法に頼らねばならない種族であるという、その本質を治す方法はないとのことであった。イリダンは新たな申し出を心に隠し持っていた。それはブラッドエルフの忠誠を得るかわりに、彼らの欲するだけの魔力を注いでやるというものだった。 ケルにとって、これは承諾するほかない申し出であった。治療法か、新たな魔力の源のどちらかがなければ民は死んでしまうとわかっていたからである。ケルはハイボーンの血を引く民と共に、ナーガの勢力に加わった。イリダンは 辺境圏を拠点とし、不死王と氷冠砦(Icecrown)に対する第二の襲撃作戦に備え、二倍に数を増した自軍を召集した。

*注*
ブラッドエルフは次の拡張パック The Burning CrusadeでHorde側の陣営として選択可能な種族となる。

165ページ
Civil War in the Plaguelands

悪疫の地の内戦


不死王ネズールは、己の時が短いことを悟っていた。凍てつく玉座に囚われたままの彼は、キルジェデンが配下の者を送り込み、自分を消そうとするのではないかと疑念を持った。イリダンの呪文による被害によって氷の玉座は砕かれ、日に日に不死王はその力を失いつつあったのだ。なんとしてでも命永らえようと、彼は最強なる定命の僕、今ではアーサス王(King Arthas)と称される者を呼び寄せた。

ちょうどそのころ、アーサスはローデロンにて内戦に巻き込まれていた。この戦場に立つアンデッド軍の半数は、バンシーのシルヴァナス・ウィンドランナー率いる勢力で、アンデッドの帝国の支配から逃れんともくろむものであった。不死王の力が弱まったことにより、アーサスの力もまた薄れつつあった。悪疫の地全土に戦が広がり行く中、スカージたちの行く末を腹心のケルスザッドに任せ、アーサスは不死王の危機に急かされるように北へと向かった。

さて、シルヴァナスとアンデッドの反乱軍(彼らはForsaken−行き場のない者 として知られる)は廃墟と化した首都ローデロンを、自分たちの領地として手に入れた。汚された都市の地下深くに要塞を建設したForsakenは、スカージを倒し、ケルスザッドとその僕どもをこの地より追い出すべしと固く誓った。

力は弱まれど、主を救わんと言う固い決意のもとアーサスはノースレンドにやって来たが、そこで彼が目にしたものはイリダンの息のかかったナーガとブラッドエルフたちが彼を待ち受ける姿であった。アーサスとネルビアン(nerubian=蜘蛛ヒューマン種)の同盟軍は、氷の玉座を守るため、先に氷冠凍土(Icecrown Glacier)にたどり着くべくイリダンの軍と競い合った。

*注*
Forsakenー 直訳すると「打ち棄てられたる者」だが、アンデッド化されてエルフにも戻れず、さりとて悪の軍団に舞い戻り隷従の日々を送るはずもない、そしてゲーム内のHorde勢力としても、歴史を見る限り他の3勢力と積極的に同盟したわけでもない(そんな余裕はなかった) という孤立状態から 訳を「行き場のない者」とした。が、訳語を宛てるとOrc=オークなど、そのままの名で呼ばれるほかの種族との整合性が取れないので、Forsakenのままにしてある。

166ページ
The Lich King Triumphant

不死王の勝利


力が失われてもなお、アーサスはイリダンに策略で勝り、先に氷の玉座へとたどり着くことができた。アーサスは魔剣"氷の慟哭"を振るって不死王の氷の牢獄を叩き割り、そこからネズールの魔力のこもった兜と胸当を取り出した。アーサスが、この世の理を超えた力を放つ兜を身に着けると、ネズールとアーサスの魂は融合を果たし、一つの力に満ちた存在へと変貌した。これこそネズールの究極の狙いであった。イリダンと彼の軍は負け戦の恥を背負って辺境へ逃げ帰ることを余儀なくされた。アーサスはこの世界にある存在のうち、最も強力な存在のひとつとなったのである。

不死を得て新たなる不死王となったアーサスはノースレンドに今も住まう。風聞には、彼は氷冠砦を再び作り直しているといわれる。信頼厚い部下ケルスザッドは悪疫の地に跋扈するスカージどもを従えている。シルヴァナスと反乱のForsakenたちは戦の傷跡深い王国のほんの端の部分、ティリスファル林野(Tirisfal Glades)を得たに過ぎなかった。

166-7ページ
Old Hatreds-
The Colonizetion of Kalimdor

禍根 − カリムドーの復興 

戦いの勝者とはなったものの、 気づいてみれば定命の種は戦の爪痕深い大地に立つばかりであった。スカージと業火の軍団はローデロンを除く全土を破壊しつくし、カリムドーでの作戦をほぼ終えてしまっていたのである。あとに残るは癒しの必要な森林、忘れ去るほかない苦い思い、故郷をなくした者ばかりだった。戦争によって、どの種族も大きな傷を負ったが、皆は無私の心で団結し、まれなる同盟軍(Alliance)と蛮勇軍(Horde)の休戦協定をきっかけに、新たな一歩を踏み出そうとしていた。

スロールはオークを連れてカリムドー大陸へ渡り、友なるトーレンの手助けを得てそこに新しい故郷を作った。命を奪われたスロールの父にちなんでこの地方をデュロター(Durotar)と名付け、かつての栄光に満ちた社会を再建すべく、オークはそこに住まった。デーモンによる呪いが取り払われた今、蛮勇の徒は戦を好む荒々しい集団から、征服よりも生存と繁栄に力を傾ける自由な集団に変化した。誇り高いトーレンと、知謀に優れた黒槍(Darkspear)氏族のトロールとの支援を受けて、スロールとオークたちは、新天地にて新たなる平和の時代を思い描いた。

ジャイナ・プラウドムア率いる同盟軍勢は、カリムドーの南部に落ち着いた。東海岸の塵舞湿地(Dustwallow Marsh)のそばに、彼らは粗末な港町テラモア(Theramore)を築いた。いつ彼らに牙を向くかもわからぬこの土地で、ヒューマンとドワーフの同盟は生き抜くために努力した。デュロター防衛軍とモア勢は互いに不安定な休戦協定を結んではいたが、このつかのまの平穏は長くは続かぬ運命にあった。

オークとヒューマンの間の平和は、カリムドーへやってきた同盟軍の大艦隊によって破られた。大元帥デリン・プラウドムア(Grand Admiral Daelin Proudmoore、ジャイナの父)の指揮する強力な艦隊軍は、アーサスがローデロンを滅ぼす前にかの地を離れていたのだった。困苦を極める数ヶ月にわたる船旅をして、プラウドムア元帥は同盟軍の生き残りを探していた。

プラウドムアの巨大艦隊は、この地域を揺るがす深刻な脅威となった。第二次大戦(Second War)の英雄であるジャイナの父は、蛮勇軍ホード(Horde)にとっては不倶戴天の敵である。さらに彼は、オークが足場を固めるその前に、デュロターを滅ぼしてしまおうと考えていたのだった。

大元帥はジャイナに残酷な選択を迫った。それは父の側についてオークと戦い新たに得た仲間を裏切るか、同盟軍(Alliance)と蛮勇軍(Horde)がやっとの思いで手にしたもろい同盟関係を保つため実の父と戦うかというものであった。悩みもだえた末ジャイナは後者を選択し、スロールと共に血迷った父を討つことにした。ジャイナが父と和解する前に、あるいはオークがもはや血に飢えた怪物などではないのだと証明する前に、プラウドムア元帥が戦死してしまったのは不運なことであった。彼女の仁義に応えて、オークはジャイナの軍を無傷でテラモアへと還してやった。(完)

リンク(だいぶデッドリンクがあります。今後整備したいと思います)

■World of Warcraftっぽいなにか ---マニュアルで要約されている歴史の詳細がわかります。

■WoW Wiki ---データリストとしても有用。Storyの項で歴史が参照できます。

■World of Azeroth ---世界地図。ロードが重いけれど待って見る価値はあります。

■Warcraft3-JP ---Campaignにイベント時のせりふが収録されています。参考に。若すぎる、レベル2のThrallなどのヒーローたちが見られます。

■Chaos Sanctuary the Legacy of Warcraft 3 ---DATAの項で、WoWの歴史に登場する主要人物を参照できます。Illidan とかArchimonde とかArthus とかいろいろ。Sylvanas(生前)やMaiev、Jainaは隠しヒーローの項で。