プロローグ

夢を見ていた。吹きすさぶ赤い砂嵐、岩肌のむき出した険しい山々、何かの霊を弔うかのように詰まれた石のモニュメント。そこに立ち尽くしていた。なぜここにいるのだろう、どこへ行こうとしていたのだったろうか。ぼんやりと考えていると、男の声が耳に届いた。

「起きろ、起きるんだ。どうした、震えているのか、大丈夫か。さあ、起きるんだ」

目が覚めるとそこは砂嵐の岩場ではなかった。粗末な船室に私は横たわっていた。見上げると、オークの男(*)がそばにいた。あの声はこの男のものか。男の名はJiubといった。低い、落ち着いた声。オーク特有の緑の肌。右目が刀傷か何かでつぶれている。

「立て、さあ。うなされていたのか。名は言えるか」

私ははっきりしない意識のまま、オークに名を告げた。

「うなされていたのは、昨日の嵐のせいばかりではあるまい。我々はどうやら目的地に着いたようだな。無事お前も俺もMorrowindで解放してもらえるだろう。・・・待て、静かにしろ。衛兵が来る」

鎖帷子の鳴る音がして、程なく衛兵が現れた。帝国の紋章を身につけている。

「着いたぞ。船から降りるがいい」

しかし、前に進み出たのは私だけだった。怪訝に思い、Jiubを振り返る。

「衛兵の言うとおりにしろ。行け」

彼はどうするのだろう。一緒に開放されるのではなかったのか?どうにも彼の処遇が気になって仕方がなかったが、今は衛兵の命令に従うしかなさそうだ。私は言われるままにハッチを開け、数日振りに暗い船室から出た。

太陽がまぶしい。光に慣れてあたりを見ると、こじんまりとした町並みが目の前にあった。その手前にはいかめしい顔の衛兵がかしこまって立っていた。ここで身柄の引き渡しが行われるのだ。役人に会い、引き渡し人に相違ないかというお決まりの手続きを経てから、私は正式に釈放を認められた。

釈放だって?自嘲のこもった笑いがこみ上げる。何の罪も犯していないのに軟禁生活を強いられ、今日のこの日に"例外的に、皇帝の特赦を受けて"釈放されたという自分。皇帝陛下が何の気まぐれで?なぜ私を?両親の顔も知らず、ただ無為に生きてきた孤児の私を、今、突然に、私自身には何の説明もなく。

私は釈放されたのではない。誰一人頼る人間もないまま、この広い世界にうち棄てられたのだ。
崇高なる、皇帝陛下のお慈悲によって!

 

握り締めたこぶしが当たり、脇からカサリと音がした。ロウで封をされた親書だ。
詰め所から出る前に役人が封書を私に持たせ、こう言ったのだ。これは皇帝陛下のご意志である、この親書を持ってBalmoraの町に行き、Caius Cosadesという男に会うべし、と。もはや私には意味のない命令だ。だが、ほかにあてもない。私と皇帝、考えるにこれほどちぐはぐな組み合わせもないと思うが、とりあえずはこの命令までは従っておこうか。とりあえずは町の者に道を尋ね、雑貨屋で装備を整えよう。役人から渡された小銭袋を確かめ、私は一歩を踏み出した。

 

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* 実はJiubはダークエルフです。ですから、このプロローグにはあやまりがあります。
ところが、わたしの目は暗い緑と暗い青はどちらも同じような色に見えてしまうのです。
顔が怖いので最初の印象でわたしはJiubをオークだと思い込んでしまいました。
間違いに気づいてびっくりしましたが、それもまたいいかな ロールプレイかな。
プロローグではこの間違った記述をそのまま使うことにします。

 

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