冒険の旅:Lethe編(6)
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まだ Vvardenfell島に来て日は浅いが、ここに住む人々の気質が多少わかってきた。基本的に、人々は自分の身の回りの事柄にだけ関心があり、よそで何が起ころうが、隣で人が刺されようが「我関せず」の姿勢を貫くものが多い。そんな個人主義の社会だけに、互いの利害で結びついた同じ派閥の人間同士のつながりは非常に強いもののようだ。自分がつまはじきにされたときのことを恐れているだけかもしれないが。
目つきのおかしな、いかにも物騒な連中が、建物の陰、薄暗い小屋の中にたむろしているのを見かけたこともある。わたしに直接被害があるわけではないが、意味もなく殺したり、盗んだりする連中は好きになれそうにない。自分は、むやみに殺すまい。盗むまい。しかし、わたしとてわが身がかわいい。せっかく手に入れた自由は惜しい。もう二度とあの場所に戻るのだけはごめんだ。命令とあれば従おう。
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わたしは昨夜Balmoraを出て、Ebonheart に向かって歩き出した。 まだ Caiusから受けた the Bladesの指令をこなすには力が足りないように思われた。指令の実行にはずいぶんと時間的余裕があるようだと Caius の口ぶりから理解はしていた。Balmoraで小さな事件を起こしてしまったこともあり、またきままに放浪したいという気持ちも起きたこともあって、南へ出かけることにした。一応、身分の偽装として参加している 帝国教団の本部に参ずるという名目をつけて。
今後のことや、自分のMorrowind での姿勢についてだらだら考えながら歩いていたら、いきなり怪しいけだものに噛み付かれ、散々追い掛け回された。ガブリと来る一噛みの痛いこと。3回もかまれたら死んでしまうだろう。
近くに見えた農家に飛び込んでなんとか助かったが、外に気の荒い動物が多いのには驚かされた。うわさによれば、毒気を含んだ嵐のせいで人も獣もおかしくなっているという話だけれど。Ebonheartに着くまで、できるだけ野宿は避けなければ。
嵐の名は the blight-荒廃-という。
Balmoraを出て、まるまる2日ほど歩いたろうか。獣にかまれた傷の手当てのため、二晩農家に泊まったから、正味、旅は4日かかったことになる。
やっとEbonheartの街に着いた。大きな街には見えないが、大陸とVvardenfell島を結ぶ、商業の盛んな場所なのだそうだ。中央には大きなドラゴンの像がある。これは何を表わしているのだろうか。誰もその起源については気にも留めていないのか、ドラゴンの像の意味するところを教えてくれるものはいなかった。
解放され、Seyda Neenに下ろされた時、最初に目にしたのは海だった。海は広く、水面はなめらかでおだやかだ。わたしは海を眺めるのが好きになった。このVvardenfellは巨大な島だ。海に面した町もたくさんあることだろう。旅先でいくるもの違った表情の海を見ることができるのだろう。
この向こうに帝国があるのか。わたしを突然釈放した気まぐれなご老体、皇帝陛下も海の向こうでのんびりしているのだろう。気楽なものだ。
小さな港町に思えた Ebonheartだが、存外に広かった。表玄関の港の裏には、大きな城が控えていた。城には交易や行政の一部を動かす大きな権力を持った、公爵 Vedam Drenがいる。Balmoraの腐敗の一端を担う犯罪組織 Cammona Tong を影で仕切っていたのは彼の弟 Orvas Drenだった。
よほど警備に自信があるのか、一般人でも入城が許可されている。公爵と言葉を交わすことまで許されたが、大してありがたい話を聞くこともできなかった。公爵は弟の悪事を承知で、あきらめているような様子さえあった。
失望と、やっぱりお偉いさんはこんなものかという納得がない交ぜになった気持ちで城を出た。そのあと、あちらこちらと見て歩きながら街の人々と言葉を交わす。どうも「皇帝は気楽」という考えは改めねばならないようだ。皇帝 Uriel Septim は80歳を越える高齢で、その跡継ぎについてはお付きの Battlemage が作り出したドッペルゲンガーであるとかなんとか怪しいうわさも飛び交っているらしい。聞いた話では実子が少なくとも3人はいるらしいから、どれか一人は真に皇帝の血を継ぐ正しい世継(よつぎ)だろう。外に聞こえてくるこういったうわさには案外確たる根拠があることも多い。世継をしかと定められないのでは皇帝も安心して死ねないだろう。おかわいそうなことだ。
わたしのようなよそ者が考えてどうなる話でもない。さて建前どおり帝国教会の本部に赴いて、教会員の勤めについて聞いてみようか。わたしはいまだやじ馬気分で教団に参加している。神がいつかひょっこり現れて、この不純な信徒を裁くこともあるのだろうか。・・・・・・ばかな。