・ おおまかな歩み (1997年11月〜1998年9月)
わたし(正確にはわたしの操るキャラクタ、エステラ [ Estella ] )はUltima Online(以下、UO)がリリースされたばかりの ごく初期にゲームプレイを開始した。まだUO自体が不完全なゲームで、サーバの性能もお世辞にもよいとはいえなかった。ラグがすごい、右も左もわからない、ゲームは苦手、英語はできないと三重苦ではとどまらないほどの不自由さの中で、仮想世界ブリタニアの住人としてもがき続けた。自由度だの、プレイアビリティなどそんなものはどうでもよかった。ただただ、初めて触れるオンラインゲームが珍しくてたまらなかった。そこにいて動くキャラクターのほとんどの中に「人が入っている」ことにこころから感嘆した。安物の剣を片手に鹿に挑んでは何度も倒れ、森を歩けば物陰からPK(プレイヤーキラー、無差別に他のプレイヤーを殺そうとする)が飛び出してきて命を取られ、すれ違いざまに裸の男に有り金を全部抜き取られと 何かを失わない日はないといってよかった。それでも日々出会う見知らぬ人々とのふれあいともいえないようなわずかな接触さえ楽しく、小さな発見ひとつひとつに心を躍らせた。すべてが新鮮だった。
ある日鹿につつき殺された。死んだら幽霊になる、その間肉体と荷物はほったらかし。大概こうなると通りがかりの人間に荷物を持ち去られるのがお決まりのパターンだった。プレイヤーのモラルもまた未熟であり、あの世界ではばれない悪事は悪事ですらなかった。だがその日は二人の騎士がわたしの体を見守ってくれていた。頼みもしないのに わたしの帰りを待って。これが ロード・エドとエレボスとの最初の出会いだった。ほどなくして エドはブリタニアを去るが、エレボスは言葉も、戦い方も、最低限の暮らしさえもまともにできないわたしを哀れに思ったのか、その後 戦闘技術、英語を使った会話などについて長い期間指南してくれた。オンラインで人に恩義を感じるという体験を ここで初めてしたことになる。「今日はここまでにしよう、またあした来なさい」といういつもの別れのあいさつを受けて、森で別れる日が続いた。
その後エレボスを通じて、やっと友人と呼べる親しさを保てるプレイヤー数人と出会う。彼らはPKK(プレイヤーキラーキラー、前述したプレイヤーキラーを追い詰め倒すプレイヤー。正義のロールプレイか、所詮はPKと同じか。その判断は各人にお任せしたい。ちなみにわたしは PKと同じだと思っている)ギルド「Dark Empire」(以下、DE)の構成員であった。集団で、ただ一人のリーダーの統率の下に行動し、狩るものと狩られるものに分かれて戦う。軍隊のような規律と指揮のもとでのプレイを初めて目の当たりにし、大きな興味を持った。当然のように彼らはわたしを招き、少しの思案の末にギルドに入隊。厳しい入隊基準のあるDEに比較的短い研修期間で正式入隊できたのは、DE設立時のコアメンバーであった彼らの力が大きかった。DEはリーダーであるマラガント(以下、時々マルと記す)を「Dark Prince」と呼び、彼を新たな王たる可能性を持つ者として仰ぎ従うという設定によって行動する、ロールプレイ集団でもあった。マルは当時19歳(DEメンバーの平均年齢は28歳だった)で、あまりにも若く、時にはおろかな決定も下したが、エレボスの年の功や彼の右腕にして姉役でもあった ミシェーラの助言を得て、リーダーとしての体面を保ちつつ メンバーとよい関係を築いていた。
※マルはロード・ブリティッシュがソーサリア(現在のブリタニア)を統一統治する際に、8徳の街の一つとして併合されてしまった少数民族の王族であった・・・とか言う設定だった気がする。もう詳細は忘れてしまったが。
その後エステラは唯一の日本から接続する戦闘員として、PK軍団との戦いに明け暮れた。当時のGreat LakesにはBanes、DDH(Disciples of Dark Hand、現在も鋭意活動中)、K.A.O.O.S、SoB(Shadows of Britannia 後に Saecula Omnimodus Bellumに改名、現在もバリバリ活動中)などひたすらに邪悪、またはおまえら頭おかしいとしか言いようのないPKギルドがいくつも存在し、戦う相手には事欠かなかった。奴らの殺す原理ときたら「目の前で動いたから殺す」というようなもの。話し合いの余地はそこには存在しない。なんか人がいる。だから殺して奪う。無差別に人を殺すものがいる。だから奴らを狩る。それがわたし達のルールだった。この世界のルールを理解せず「罪のない人をなぜ殺す!」とつかみかかるわたしの前に、Banesの頭領ロード・ベインが自ら姿を現し「これはゲームだ。俺達は殺す役、お前達は俺達を追いかける役だ。自分の役目を果たせない人間は出て行くがいい、お前にゲームを楽しむ資格はないね」と諭されるという妙な事件もあった。 まったく彼のいう通りなのだが、それを理解するには当時のわたしは知識と経験が少なすぎた。 この世界で本気で遊ぶということの意味がわかっていなかったのだ。
ゲームの中では憎み合い、首を取り合っているPK集団とDEだったが、IRCで会話する際にはキャラクター同士の敵対関係は脇においてチャットを楽しむという、公私の区別がきれいについていた。納得づくの上で、それぞれの役割を演じるという壮大なごっこ遊びが数十人単位でできていたのだ。今思えば素晴らしく恵まれた環境であったと思う。自分でも自覚できるほど英語でのチャットの力は伸び、エレボスには「すっかり言葉遣いが汚くなった」と嘆かれた。
※UOはウィンドウモードでプレイできるため、チャットルームがなかった当時はIRCソフトを同時起動して作戦会議や連絡を行うのが普通だった。スパイ行為を防ぐため戦闘中の他勢力へのIRC乱入はなし。戦いが終われば敵味方が勝手に敵対ギルドのルームに入り込み、冗談を飛ばしあったり悪態をついて笑ったりしあったものだ。
ギルドはエステラが入ってから1ヶ月の間は、円滑に活動していた。レッドネームの悪名を背負う代わりに最大の攻撃力とDEの真の力であることを誇るDread Lord部隊。名声を保ちつつDEのクリーンな顔としてよく見える場所で活動するために編成されたGreat Lord部隊。傷ついたメンバーの補助と、街へ入れないレッドネームへの補給を担当するヒーラー部隊。デーモン召喚やエナジーボルトで戦闘補助を行う魔道士部隊。生産スキルのGMが最も困難であった時代にその偉業を成し遂げ、メンバーの感謝を受けつつ城に軟禁されることを運命付けられた職人チーム。役目は違ってもみな自分の立場に自信と誇りを持っていた。
※職人チームのメンバーの一例は ここ で読める。悲劇的な結末を迎えるが、わたしたちは 全員が「なっとくづく」でロールプレイを楽しんでいたことをどうか理解して欲しい。
PKという悪のレッテルを貼られた殺しと、PKKという正義の仮面に隠れた殺し。殺しは毎日のように三叉路で、東の森で、ダンジョンで行われ続けた。数の多い敵に対抗するため、研修期間制を廃止し次々と団員を増やし続けるDE。一時団員数は70人近くまで膨れ上がった。設立当初の古いメンバーは団結と友情を望む反面、新規団員はDEの名前と力に惹かれて参入したものが多く、勝利と戦利品、賞金と更なる力のみを追い求めた。世代間のギャップは次第に大きくなりつつあった。このころ、Dupe(アイテム複製。当然不正行為)で数名のギルドメンバーが相次いでアカウント停止処分を受ける。それと時を同じくして、DEの騎士団然とした高潔なイメージにこだわり続けていたマルが、なぜか突然PKギルドから強力なPKを引き抜き始めた。彼らの多くは「PKとして追われながらびくびくやるより、DEに入った方がもっと楽に大量の人を殺せる」という穏やかならぬ理由でギルドに加わった。PK大量引き抜きを行った直後、彼はその姿をほとんど見せなくなる。この時、のちのマルチオンラインPvP志向ギルド SiNISTER[SiN] のリーダー、ボーンダンサーなどが入隊する。DEも所詮PK集団よと、罵倒の言葉を投げかけられることも多くなった。
一時的にせよ、リーダー不在となったDEはかつての団結力を失いはじめていた。ここで新世代のリーダーシップをとっていた魔道士部隊のアラリックが、マルのいない間の統率役を買って出る。パワー志向の世代の代表でもあるアラリックが表に立つことをコアメンバーたちはよく思わなかったが、そもそもこの時点で設立当初から在籍するコアメンバーの数は数えるほどになっていた。Dupeでアカウント停止処分を受けた中には初期メンバーの者が多かったため、いきおい旧世代の力は弱まりつつあった。アラリックの台頭を止める力もなく、DEは「アラリックのギルド」としてその姿を次第に変えていく。
戻ってきて、すぐにギルドの変化を見て取ったマルは緊急会議を開き、自分の職務Overlordを自ら解任、新たなリーダーにアラリックを任命する。突然の宣言にギルド内は騒然となった。素直にアラリックについていく者、制服を地面に叩きつけて脱退宣言をする者。前者は新世代、後者は旧世代とすっぱり別れる結果となった。Dark PrinceなきDEはDEにあらず。数は少ないもののある程度の発言力を持つ旧世代メンバーは、アラリック派がDark Empireを名乗ることを強く非難した。マルと旧世代がすでに脱退し、実質新たなリーダーとなったアラリックはこれに対する回答としてDark Empireのギルドストーンを無断で撤去。この瞬間 DEは永遠に失われた。その後彼は Church of Dark Empire(以下、CoDE)という魔道士隊に重点を置いたPKKギルドを設立。新世代メンバーと共にPKK活動を開始する。
一方旧世代は真のDEを再建すべく奔走するが、再び姿をかき消したマルに疑念を募らせ、独自の調査隊をブリタニアに放った。そして調査隊が得た事実は旧世代を叩きのめすのに十分な力があった。マルはもう一つの顔、別アカウントにて活動する仇敵 Noct (NoctavianだったかNoctlarusだったか・・・もう忘れてしまった。思い出したくもない。わたしはブリタニアでの記憶を失いつつある)を持っていたのだ。一匹狼でありながら大量殺戮を成し遂げるNoct。追い詰めても追い詰めてもひらりと逃げてしまう異常な勘のよさ。全てを見透かしたような発言。当たり前の話だった。こちらの行動は筒抜けだったのだから。何もかも。
コアメンバーを中心とする、マル派の受けたショックは相当なものだった。Dread Lord部隊は怒り狂ってシェイムのダンジョンに繰り出し、PKとなんら変わりない無差別殺人を繰り返した。怒りの矛先を消えたマルではなく、無関係な冒険者たちにぶつけた彼らの行動はあまりにも浅はかであり、罪は重い。当時少数 Great Lakesサーバに存在した何人かの日本人プレイヤーがこの被害を受けたと聞いた。青ネームのメンバーにも同様の行動に出たものいる。何も告げずに制服を捨て、ゲームマスターを呼び出してキャラネームのあとにつけていた「−DE」を取り外してもらうという作業が目の前で始まった。
(※ギルドタグ機能が未整備だった当時のGMはこんなサービスも請け負ってくれた。例えばエレボスは 正式にはErebos-DEというキャラネームだったわけだ。)
無言でログアウトし、それきり姿を現さないものもいた。40人のプレイヤーが一夜にして消えた、あるいは引退を決意した。あれほど大量のプレイヤーが傷つき、いっせいに世界を去る様子を 以来わたしは目にしたことがない。できればもう二度と見たくない。
2003/10/17 ここまで書いた
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2004/03/19 ここからまた書き始めた
二週間ほどブリタニアより離れた。どんなことがあっても毎日くぐりつづけた世界の門を、どうしてもくぐる気になれなかった。愛想のないパッチ画面を経てディスプレイに映る、古めかしい宝石箱を模したログイン画面。流れるウルティマシリーズのテーマ曲とも言える「ストーンズ」。見て、聞くだけで胸が痛んだ。何度か起動したが、すぐに閉じてしまった。仲よく暮らしていた一族が突然ばらばらにされた、そんな感じだった。ログインしても、かつての棲家の無残な焼け跡を見に行くだけのような気がした。 ICQには当時登録されていた100人の仲間の名が並んでいたが、ほとんどのメンバーはオフラインだった。みじめな名簿といった風情だった。数人からメッセージが届いていた。わたしはそれらに「気遣ってくれてありがとう、あなたもつらいでしょう」とつまらない返事を送った。「またブリタニアで会いましょう」とはとても書けなかった。 どうせ会えないのだから。
(※トップページの画像が当時のログイン画面。ストーンズは ここ で聞くことができる。歌詞もある。ただし、UOで使われていた音色とは異なる。)
気持ちが落ち着いた、とはとても言えない状態のままに性懲りもなく、その後再びログインした。ど田舎の家で静養するだけの生活は何の刺激もなくただ安穏で、苛立ちと劣等感ばかりがつのった。生まれつきわたしの健康に難があることをよく知り、ずっと愛を注いでくれた両親は優しく辛抱強かったが、わたしはそのことにさえいらだった。ところがそのやり場のない怒りをぶつけるほどの図太さはなかったので、一人でくすぶる気持ちをもてあますばかりだった。お医者は「快復するまで気を楽に持って、栄養を取って、安静にしてください。気長にいきましょう」というが、「役に立たないのだからせめてじっとしていてくれ。一生な」と言われているように聞こえた。ひねくれきっていた。
あの世界ではわたしは無能ではなかった。役に立ち、頼りにもされた。嬉しかった。だがそう感じられる場所は失われ、そう感じさせてくれる人々も去ってもういない。わたしのやっていたのはごっこ遊びで、いずれ終わることだった。ただ、満足して自分から世界を去る前に、とんでもないかたちで楽しい世界が終わってしまった、というだけだ。
納得いかなかった。未練があった。無様なほど必死だった。泣いて泣いて本当にギルドの解散を悲しんだ、セインの気持ちとはまた違う。もっといやらしくて浅ましい、物惜しさに近かった。本当に誰もいないだろうか。みんなどこかにいってしまっただろうか。それだけが知りたくなって、再び世界に足を踏み入れた。
ここまで徹底しているとあっぱれといってよかった。ほとんどのメンバーがブリタニアを去っていた。まもなくβテストの開始されるShadowbane(※実際は開発がかなり遅れてしまうのだが)への移動を考え、小休止期間に入るもの。オンラインゲームはもう二度と遊ぶまい、と仮想世界との完全なる訣別を選んだもの。ギルドという後ろ盾を失った 赤ネームのDread Lord部隊は、ただのPKと大して違いのない強盗団に身をやつしていた。もはや街では復活できず、幽霊になったら仲間同士で助け合うしかない。Chaos ShrineがGoodな連中の手に落ちないように、要塞のごとく守りを固めるしかない。疑心暗鬼に陥った彼らは近辺と、テリトリーとしているダンジョン付近に近寄る一般PCを片っ端から襲った。わたしも -DEのタグの外れたかつてのDread部隊のものに攻撃された。わたしをクリックして、その名が出たのにも気づかず、ただブルーネームであったというだけで襲ってきた。もうどうでもよくなっていた。殺されてもかまわない、持ち物は全部くれてやろうと思った。だがわたしが彼の名を呼ぶと、彼はわたしが誰かに気がついた。最初から -DEなんてついていない名前だったのに、「エステラDE、かつての仲間よ、許してくれ」と言って彼は泣いた。ほんとうに気がつかなかったのだと。しばらくしてICQ経由で彼とDread部隊の数名はキャラクタを削除し、アカウントをキャンセルしたと聞いた。それが本当かどうかはわからないが、その後彼らをブリタニアで見ることはなかった。
(※当時はFame軸がなく、Karmaのみでプレイヤーの称号が決まっており、Karmaが最低ランクのDread Lord/Ladyは赤ネームとなり、街に入るとガードに殺されてしまった。Wandering Healersも利用できず、蘇生の呪文をもらうか、Shrine of Chaosのアンクに触れて復活するかしか生き返る方法がなかった。ギルドメンバーのサポートが受けられなくなったおかげで、Dread部隊は賞金目当ての者やDEに怨恨を持っていた者から総攻撃を加えられるようになったのだった)
かつてギルドメイトが集まったエンパス・アビーの天井にも、誰一人として仲間を見つけることはできなかった。やっぱりな、と言うあきらめをもって、わたしはふらりとコブトスのダンジョンに向かった。リッチの徘徊する3階に上がり、持ち慣れないハルバードを振りかざして暴れた。敵を殴った。1回1回、左クリックして何度も何度も殴った。灰色の醜いリッチが地面に倒れるその一瞬だけ、気持ちが晴れた。でもすぐにわたしの中はにごった毒で覆われ、次の獲物に向かって武器を構えて一撃を叩き込まなければならなかった。愚かだ。救いようもなく。でもやめられなかった。普段ヒーラーとして活動しているエステラのHPは少ない。5匹目のリッチにその息の根を止めてもらうときまで、わたしは無駄な左クリックを続けた。世界が暗転し、からだから引き剥がされた霊がぼんやりと死体のそばに立った。ああ、もういいや。エレもジャックもモーフェもエディンも、ノーラもモネもスリーもいないのだ。やめよう。消えよう。くだらない。何も残らなかった。わたしの旅は終わったのだ。そう思ったときに、赤いローブが視界の端に映った。
「死骸だ lol」
ローブの人物はわたしの死体を見て、そう言った。そして盛大に lol lol と笑った。敵対していたPKギルド、SoBのメンバーXDariuSだった。
***
2004/3/25 つづき書いたXDはわたしの死体をばらし、そこからハルバードと秘薬袋を拾い上げた。わたしは何も感じなかった。死んだら負けだ。敗者はすべてを奪われる。当たり前のことだった。もう何を取られてもよかった。かばんの中にハウスキーが入っていたとしても、もうなんとも思わなかっただろう。わたしは罵倒され嘲笑され、ここに置き去りにされるのだと思った。だが違った。
「ジジイ6匹っと」彼はそう言うと自分にリアクティブ・アーマー(※当時RAはあらゆる攻撃のダメージをいちじるしく軽減するすばらしい防御呪文だった。ちなみに バグ)をかけ、ハルバードを構えてリッチに突っ込んでいった。わたしの持っていた武器とは違い、自前の銀製のものらしい。2-3度振るうとリッチはばたばたとダンジョンの床に倒れた。すべてが片付くと、ぼんやりと立つわたしの霊の元にやってきた。
「lol lol l o l」 (ギャハハ アハハ ハ ハ ハ)
また盛大に笑いながらResurrectionを唱えた。エステラは再び肉体あるものとして地を踏んで立った。もういらないはずなのに、習慣で落ちたバックパックを拾ってしまう。服はあったが、下に着ていた魔法のプレートメイルや秘薬、ハルバードは奪われていた。XDはその間にばらされたわたしの死体の足と手を入れ替え、胴の上下にX字型に並べて遊んでいる。頭はなぜかリッチの顔の上に置いていた。
「なんで?」 (why) ---ありがとうとは言わなかった。
「何でもいいじゃん」 (whatever) ---彼は答えた。
「あんたが生きてたら、殺してた。死んでたからResした」
「ほっといて、わたしなんか"負け犬"なんだ」
「だから何?」 XDは少しだけわたしに詰め寄った。
「PKKがPKに勝てるわけないじゃん、DEに入ったオマエは最初から負け犬なの」 そうかもしれない。
「なぜ助けた?」
「戦友を助けたらかっこいいべ?俺親切だ すげー」
「バカじゃないの?いつ友達になったの」
「いつ憎みあってた?ゲームをしてただけじゃん」「だから、わたしを、なぜ助けた?」
「あんたは生きてる。他のDEは死んだ」
you are alive
other DEs are dead彼はそういうとぷいと背を向け、ゲートを開いて帰ってしまった。おそらくゲートの先はBanesの村だ(*)。これをくぐれば袋叩きにあって終わりだろう。服と包帯、はさみ、黄色ポーションだけになってしまったかばんを抱えて、エステラは歩いて外に出た。
(*)SoBはその本拠を知られていなかった。なぜなら必ず偽装としてBanesの村を通って帰っていたから。尻尾をつかもうとのこのこゲートに入れば、Banesの連中が綺麗に始末してくれると言う寸法だ。
生きてるから助けたってなんだ? みんなはいさぎよくやめて、わたしはいじきたなくゲームに残ってるから助けたってどういうこと? このときは、バカにされたとしか思えなかった。 とても腹が立った。さっきまでもう何も感じないや、どうでもいいや、と思っていたはずなのに 今は怒りがこみ上げていた。
ここまで書いた
つづきはちょっとだけあるけど ほんともうすぐ おわっちゃいます。どこまで 書こうかな。
これ以上かかないかもしれません。
・ 操作端末 Estella とその方向性
・ こんな世界で暮らしました
・ 仮想世界ブリタニアでの人との出会い
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